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Name? Bomb, Cherry Bomb

映画のこととか、音楽のこととか。目指せ文化系女子。

重くて美しい、胸に刺さる映画

暗くて重くて観ていて胸が痛くなる、それでいて観るものを引き込む美しさがある、そんな映画をまとめました。

 

 

 

愛を読むひと

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ドイツ人作家、ベルンハルト・シュリンクの半自伝的小説を映画化した傑作。

第二次世界大戦終戦後のドイツ、偶然とも必然とも言える出会いの末、時を経て苦悩する、階級も年齢も対照的な二人の男女の純愛を描いたラブストーリー。

彼らの運命が「言葉」という一つの抽象概念の下で交差する様子が巧みに描かれている。

その美しく儚い純愛の底に根差すのは、凄惨な戦争とファシズムの傷跡。愛。罪悪。羞恥。モラル。そして、贖罪。ナチスによる負の遺産と、戦争の余波とに翻弄されながらも、強く美しく生きた彼らを待ち受けていたものとは。

ヒロインのケイト・ウィンスレットはその熱演からアカデミー賞主演女優賞を受賞。涙無しには観られない。

 

 

『わたしを離さないで』

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「生を理解することなく、命は尽きるのだ」

 

カズオイシグロの世界的ベストセラー小説を映画化した傑作。

外の世界と断絶された窮屈な寄宿学校「ヘールシャム」を舞台に、そこで生まれ育った、キャリー・マリガンキーラ・ナイトレイアンドリュー・ガーフィールド演ずる3人の幼馴染の男女を待ち受けている過酷な現実が、美しく、そして儚く描かれている。

「クローン」にも人間の持つような魂や心は存在するのか。その主題の本質が見えたとき、行き場のない虚無感に襲われ思わず叫びたくなる。暗く、冷たく、残酷で、それはまるでパンドラの箱。その中に最後まで残った「希望」とは、果たして何だったのか。 

 

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『つぐない』

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いたいけな少女の嘘によって引き裂かれ、過酷な運命に晒された2人の男女。自らの犯した償いきれぬ罪を背負い、その一生を贖罪のためだけに生きてきた少女。3人の登場人物それぞれの苦しみ、憎しみ、そして愛を『プライドと偏見』『アンナ・カレーニナ』のジョー・ライト監督とキーラ・ナイトレイのタッグで描いた哀しいラブストーリー。

希望の光のたった一筋も見えない絶望感と閉塞感に相反する、映像と音楽の美しさが、観るものにえも言われぬ浮遊感を与え、彼らの凄まじい苦しみを思っては、涙を流さずにはいられない。

 

 

 

ジェイン・オースティン 秘められた恋

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"Becoming Jane"「田舎町の少女ジェイン・オースティン」が如何にして「女流作家ジェイン・オースティン」になったのかを、彼女が死に際に語った生涯唯一の恋に焦点を当てて描いた名作。

身分や階級、性別に縛られて、女性というだけで自由を奪われたり、夢を諦めたり、そんな不自由と閉塞の時代に、自由と自立を求めて奮闘しながらも、強く愛に生きた男女の「自己犠牲」の物語。

アン・ハサウェイジェームズ・マカヴォイ演じるジェインとその恋人トムの織りなすケミストリーと、美しい音楽、そしてヴィクトリア朝時代の長閑な情景に心を掴まれる。
彼らの心の底に眠る叶わぬ夢を想えば、ジェイン・オースティンの作品の情趣がより一層深まるだろう。

 

 

ガタカ

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近未来、生前の遺伝子操作によって所謂「デザイナーズチャイルド」が世の常となった時代に、純粋な両親の愛の結晶として生まれた「不適正者」の青年が、憧れの宇宙に辿り着くために血の滲むような努力を重ねながら強く生きる姿が描かれる不朽の名作。

現代の我々の当たり前とするモラルの崩壊した世で、夢を追って必死に生きるヴィンセント(イーサン・ホーク)と、自らの叶わぬ夢を彼に託し、影武者に徹して生きるユージーン(ジュード・ロウ)との、共依存とも言うべき固い友情に目頭が熱くなる。

如何にも近未来的な独特の世界観と巧みに張られた伏線の数々、各所に鏤められた美しいメタファー。そして、冒頭で示される対照的な二つの引用の意味を噛み締めながら、人間の存在意義、そしてこの地球に生を賜った者としての使命を深く考えさせられる。

  

 

『パーフェクトセンス』 

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徐々に五感が失われて行く原因不明の感染症が世界中で蔓延する現代のロンドン。世界の終焉の恐怖を目前にして出会った二人の男女の強くも儚いひとときの恋が描かれる。

パンデミックを題材とした月並みのパニック映画とは一線を画し、「人間」の本質に焦点を当てた珠玉のラブストーリー。

人間の持ち合わせる原始的な感情、悲しみ、飢え、怒り、そして喜びの爆発と共に、感覚が徐々に失われて行くその巧妙な構成と、突き詰められたリアリズムが誰もが心を揺さぶられるはず。